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#1ふぁぼごとにうちの子の実在しない小説の一部を書く

2016/02/17 ありえない描写の混ざった話になります。嘘混じりです。(※似たような表現が本編に入ることはありえます)

(1)『虹の向こうへ』より紫亜とロズ 開いた扉の向こうに見えた夫の顔に安堵して、歩きながら、ただいまもどりました、と言うつもりだった。「行くぞ」「はい?」玉座に座っていたはずの夫は、国王ではなく青年の顔をしてロズを抱き上げ、小走りに謁見の間を後にする。「な、何ですか」「夫が妻の帰りを待って何が悪い」本当に困った人だ。 (2)宇美と杏と香乃 「香乃のバカ!」「バカしか言えない杏ちゃんの方がおバカさんだもーん」「はああ?!なんですって!」熱り立つ少女2人を見ていた宇美だったが、杏が香乃に襲いかかろうとしたところで、両手を割り込ませた。「なによ!」「なーに?」瓜二つの顔は正反対の表情をしていた。「喧嘩は……良くない」 (3)『長距離遊歩道』よりメイ 泣き腫らした目でお姉さんはメイを見つめました。「ねえ吟遊詩人さん。恋のお話、聞かせて」「こい、ですか?」聞いたことのない言葉にメイはこてんと首を傾げます。すると、お姉さんはふふと泣きそうに笑いました。「貴方達はこころがないんだったわね」「こころ……」「そう。こころ」胸元を指す指は (4)『黒鍵の薔薇』(※非公開)作品 2人のアキ 「ね、アキ。あれ弾いてよ、黒鍵」「アキのために?」「うん」白く繊細な指先が音を奏で始める。革命のエチュード。重苦しい音の中に明るい音が跳ねるこの曲は、アキが弾くと曇天の下にいるように息が詰まってくる。調律のなされていない古びたピアノとその音色はとてもアキらしく不協和音で、美しい。 (5)『苦し紛れの常套句』朝比奈と哲 (※恋愛ではございません) 最も敏感な部分に押し当てられたそれは、生温い違和感と香りだけを後に残す。「……なにするんですか」「餞け。さ、奥さんが待っているわ、行ってらっしゃい。花婿さん」「全く、貴方という人は……」言いかけた文句に、哲さん、と新婦の声が重なる。とんと背中を押されるままに、哲は歩き出した。 (6)『虹の向こうへ』透火と芝蘭 「したい?」細い指先で下顎をなぞり上げても、彼は無言のまま透火に触れようともしない。深い溜息が手の甲に返される。「……色目使うなら、もっと真面目にやれ」「真面目だよ」にこりと微笑んで我儘で頼りない唇を人差し指で押さえ込む。伸ばされない腕に手を伸ばし、身を寄せる。「気持ちだけ、ね」 (7)鶴宮 「おにーちゃんのばかあ」うわあん、と続く泣き声に火胡が辟易とした顔をする。「こーら。どうしたの、2人とも」香里はこんな時でもにこにこと微笑みを浮かべて兄妹の手を取る。「お、火胡も男の子らしくなったね?」面白がった康太は、息子のひと睨みにさらに笑って、幼い香子の後ろに逃げた。 (8)『蝉』or非公開作品より かつて文学少年だった斎は、今ではギターが得意なプレイボーイになっていた。「斎ー、ヘルプきてくれよ。俺のバンド、ベースが腕骨折しちゃってさ」「君んとこ野球部の人だったもんね。それは大変だ」「ヘルプ」「だめ」「ケチ!なあ、了!お前からも頼んでくれよ〜」そこで呼ばれる辛さといったら。

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