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他所様創作の二次

莉介様による「匿名魔女の呪いの作法」

現代ファンタジー/素敵なおっとりお嬢様と過保護な素敵おじ様と外見性別不詳のイケメン従者様

映お嬢様と幸親さんで新春小ネタの予定でした。

いつかきっとこれ用のイラスト描くんだ……

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紫煙が淡い弧を描き、まだ青い彼方へと消えていく。

「幸親」

さくらんぼの瑞々しい声が爪先で弾ける。風下へ煙草の火を隠し、幸親は可愛らしい主人へ視線を向けた。

「なァに。どうした」

「あのね。付き合って欲しいの」

誰かの愛をいっぱいに吸い取った、艶めいた唇。初心な朱を三日月型に模って、映が唱えた誘い文句は楽しげで、くすぐったさに幸親は頬を綻ばせて頷いた。

spring magic

その二人は、傍から見れば恋人のようだった。

通り過ぎた彼らを視線で追った者で、それが謝りだと気付けたのは三人に一人居たかどうか。女性ならばなおのこと、見惚れて終わった方が幸せだったかもしれない。

「準備はばっちりね」

彼女が笑うと、山茶花が舞ったような錯覚をする。魔法ではない。彼女本来の華やかさが、周りにそう見せるだけだ。サングラスに写り込んだ微笑みに頷いて、新調したローファーを片方、後方へ引いた。

「それじゃ、行こうか。お嬢」

「ええ。エスコートはお願いね、幸親」

仰々しく映るお辞儀も、映の頷きと繊手だけで絵に変わる。

「当然」

悪戯を企む子供のように笑い返して、主人を車へと誘った。

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