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映画の感想「さよならの朝に約束の花を飾ろう」

私が岡田麿里さん脚本で好きなシリーズはselectersだった。

少女たちの間で流行るWIXOSSというカードゲームは無慈悲に少女たちをプレイヤーへと巻き込み、絶望と希望に翻弄されながら、一つの始まりにたどり着く。主人公のチートっぽさはともかく、私はあの話が大好きだったしとても綺麗に美しく、少女の夢の綺麗さと儚さと現実的なチープさを描いていると思っている。岡田麿里さんの担当した話が特に好きだったのでよく覚えている。

キズナイーバーは観たし、ここさけも観た。主人公たちの設定や話の展開は思うほど好みではないところもあったけど、人間関係の中で生まれる絶望とか希望とかの流れはやっぱり好きだった。嫌いじゃない。ここさけは、主人公の自分勝手さが現実的な周囲の自分勝手さとぶつかり合っている映画だと思った。怖いけど。

(あの花は泣かせにくる感動映画というCMだったので見ていない)

前置きはこのくらいにして、要点をまとめる。

そんな全力で岡田麿里さんが関わっている作品が素晴らしい!と言うわけではない私が、

それでも岡田麿里さん脚本の作品が好きな理由は、「絶望と希望と理不尽さの描き方が丁寧だから」だ。

というわけで、

CMでもチラ見できるように、岡田麿里さんの絶望と希望と理不尽さを味わうべく、「さよならの朝に約束の花を飾ろう」を見に行った。

いや半分くらいは主題歌と世界観設定の勉強のために行きました。勉強になりました。サントラは最高だった。

以下、誰かと分かち合いたい感想愚痴その他オンパレードです。

裏設定とかあったらそのうち検索して知りたい。今の所感想が落ち着くまでは他人の考察をみないようにしているので、時間差できっとあさりに回ると思われます。

ーーーーーーネタバレあり。注意。(時系列とシーンについてはかなり前後していると思います)

1)冒頭から村が襲撃されて主人公マキアが飛んでいくまで。

村長の役目って「村の外に出たら、誰かを愛してはいけないよ」だけ?

二人の関係性、及びマキアに家族がいないということを示す演出はすごくすごくすっきりまとまっていてよかったと思うけれど、あまりにすっきりしすぎて驚いた。え、それだけなんだ?村長さんの話も唐突に感じてしまった。あと村長さんの横姿めっちゃえろいです。

閉じ込められて竜が来てバーン!飛び立つ!良いと思います。わかりやすいね。一人だけ逃れた理由がわかりやすいし、村がなくなったと思ってもあれは仕方ない。

だからエリオルとの出会いのシーンが丁寧だったのは好印象。平田さん、違う、バロウさんの登場もここだったのは印象的でよかったと思う。後でこの部分のポイントが回収されたらもっとよかった。もっとよかった(※1)

背景綺麗、キャラクター美形多い、ほわほわさの残る主人公が泥を這ってでも縋るように手にする希望、という流れのスムーズさ、素晴らしかった。

2)エリオルが大きくなるまで

ラング細谷さんだったの!?大きくなってからだと思いました

ところでパンフレット完売だったせいで公式サイトでも確認できないんですが、弟くんの声って子役さん?ですかね。ばらかもんとか甘々と稲妻の子役さんかと思ったんですが。

この辺りの日常系の展開は丁寧で素晴らしかった。

だからこそレイリアの織ったヒビオルがマキアの手元に届いた時の「承」が目立った。わかりやすい動機、そして初めての死と別れ。マキアが覚悟や決意するシーン描写があると丁寧なのでは?と思ったけれどまあ村を出て行くシーンがあったから良いかなと思った。ラングの恋心よ……

いつ大きくなるのだろうなあと思いながら見ていた。お店に努めることが難しくなってマキアがエリオルに当たってしまうシーン、情景描写だけで説明している気がした(記憶が少しうろ覚え)。

物語の視点は神視点もとい読者におかれているせいで、個々のキャラクターの細かな表情や心情の変化のピックアップがないのだなとこの時点で察する。キズナイーバーよりもキャラへの感情移入できるような表現が薄い。(キズナイーバーは薄い方だと思う。コミカル?軽やかな作品という印象だ)

約束のシーン、さっくりだったけどよかった。

むしろこのくらいのさっくりわかりやすくほっこりな感じが作品にあってるのかなと思わされた。とにかくこのシーンは悪くないと思う。めちゃくちゃ好き!という熱情を抱くまでに至らないだけで。

3)エリオルおっきくなって思春期だね~お別れまで

エリオルの行動にいいね100連打した。恋人とも間違われてしまうくらいの「おかあさん」に対して、自分の今の気持ちをちゃんと踏まえて、離れていく。ラングさんに打ち明けたのはよかったけどマキアには結局ちゃんと話せてないよね。マキアは盗み聞きしただけで終わってるよね。それでいいのか?読者がわかってればいい、という展開にわずかに不安を覚えて、ここからは私は今後の展開への防衛戦を張り始めた。

お互いが言葉にしあって示さないまま、けれど互いに?互いの言い分を理解して別れる。

この後の窓からやってきたのってグリムであってるよね?

レイリアの孤独、苦しみ、絶望。マキア以外には仲間がいないと思って諦め、子まで孕ませられ、愛しいグリムの存在も諦めて生きようとしたのに、実際に子を産んでからは合わせてもらえず、王子も自分に見向きもしない。(美人は三日で飽きるとよく言うよね)

あの王子のことだから、なぜ子供を孕ませられたのかとか喋りながらやってそうですけど、レイリアはその辺どうなんでしょうね。多分子を孕ませられた後に、レナトに八つ当たりしてたんでしょうけど。ギャップすごいよね。冒頭との。

マキア連れてきてよ!って叫んだから、最後にマキア連れ去られたのはレイリアのせいかな!って少しだけ期待しましたよね。グリムだったね。違ったね。

4)戦争が終わるまで

ねえ誰か教えて欲しいんだが、グリムの言ってたセリフは「イオルフが腰より下に髪を伸ばして良いのは、子供を産んでからだ」であってますか??????あってる????

こういう風に聞こえた私は、グリムがマキアに子供産ませたのかと思いました。一瞬。

この後の展開から考えるに、イオルフの民は冒頭で襲われてバラバラになったから、そういうしきたりはもう意味がないというか、懐かしんでの発言だったのかしら????と納得してますが、ここいまいちわからないし短すぎた。雰囲気で流れていっちゃったよ。あと村長あなた生きてたのね。

ってことは生き残った人たちは、別の国に助けを求めていっただけで、生きてるんですかね。村長でてきたの突然すぎたように思います。(主人公とレイリアとグリムを起点としている話である以上)仕方ないかもしれないけど。

もう一回観に行けば良いじゃんという話ですがそれについてはメドメルちゃんに触れてから言います。

メドメルちゃんがちょっとかわいそうだなってこの辺りから思ってました。かわいそすぎん?

レイリアがマキアつれてきてよ!ってわめくシーンの前にメドメルちゃんのシーン入りましたよね。ものすごく察しがよくて、レイリアの特徴は何も引き継がなかったけど、聡明なお姫様でしたよね。メドメルちゃんをすぐに殺してないあたりがまだ、まだ人情ある王・王子だったのかなって思いますが、どっちみちレイリアとメドメルちゃんてかわいそうですよね。理不尽に。他人の思惑で境遇きめられて、メドメルちゃんなんて生まれて普通の人間だったからって母親にすら会わせてもらえないし父親にも見放されたわけじゃないですか。従者のお姉さんくらいしか身近な存在いなかったわけじゃないですか。

もうたったあの数十秒のシーンだけで、メドメルちゃんも救われる側になるかなとか期待するじゃないですか。(フラグ)

そして、リタとエリオルが結婚してたの、な、なるほどー!?と思いました。リタが謝れず終わらなくてよかった。あそこはリタのためにあったのではないかとすら思う。エリオルと出会った後にマキアがリタの出産と出くわしたのも、ストーリーの伏線(似て非なるシーンの重ねがけ)としては良いと思いますが、その前に思い出して欲しい。マキアがグリム探すの諦めるの早くない?利用されてた側だからなのかな?グリムも一直線に行きすぎよね?猪突猛進なキャラだったのかな。闇落ちする過程がレイリアとマキアと比べて薄かったせいでちょっと、ちょっとなんか、ああ……って眺めてる間に急直下でしたね。

ところで、ラング兄さん愛されてんなあって私は思いました。この辺りから。彼だけすごく、丁寧なんですよね。いろんな変化の描写がちゃんとあるんですよね。セリフとかもね。エリオルとリタが次点ですかね。

まあこれも、イオルフの民は長命を生きてきた、民の中でしか生きてこなかったから、そういう人間的な感情の変化や応答が細やかではない、という性質の対比だったら、よく描けているなあと思います。

だからこそメドメルちゃんだけ救われなかったのが許せないんですよね

「私を忘れて!」ってレイリア空飛びましたけど、空飛びましたけど、

確かにメドメルちゃんもレイリアの顔知らなかったから誰?って一瞬なりましたけど、従者が教えてくれたじゃん、母親だってわかったじゃん。

レイリアはグリムとの会話、マキアとの会話で、きっと王城の中で孤独でも生きて行く拠り所としていたメドメルという娘の存在が、引き離されてしまったのでしょうね。

「外の世界に触れたなら、誰も愛してはいけない」から、娘にこだわって生きてきたレイリアの中に愛情のような感情はあっても、本人を前にして愛情は生まれなかったのでしょうね。もしかしたら。わからん。愛情あったのかもしれない。あったならせめて名前を呼ぶとか抱きしめるとかあっても良いと思うけど、

「誰も愛してはいけない」し

愛した瞬間、娘も自分も孤独になると思ったのかもしれませんね。

そうかもしれないからこそ、メドメルちゃんだけが本当に、ただ救われないのが辛いんですよ。

つらい。あーーーーつらい。メドメルちゃんの祖父と父親にあたる、王・王子は勝手に逃亡しておそらく捕まって死ぬだろうし、メドメルちゃんは下手したら彼らと一緒に殺されるか、他国に引き取られて母親と同じ目にあわされるかもしれないわけですよ。レイリアが嫌がったことをされるかもしれないんですよ。

でも、メドメルちゃんは、イオルフの民ではない。ただの人間なんです。

つらくない???????つらいよ?????????

だから、レイリアとマキアが飛び立っていくのを、「お母様は綺麗な方だったのね」って悲しげに微笑むメドメルちゃんをさ、従者だけが泣いて抱きしめるのやめてほしいんですよ。つらいじゃん。つらい、つらいことすらメドメルちゃんは受容されないようになってるわけですよ。

そんなつらみを数秒演出しておいて、レイリアとマキアの明るい夜明け前の対比をするんですよ。

すごく綺麗で美しい音楽と背景と美少女二人を並べて、空を飛ぶレナトという存在と共に、明るい希望を示すんですよ。今まで絶望を生きてきたレイリアと、絶望がありつつも希望とともに生きてきたマキアだけが、空を飛んでいくわけですよ。絶望に屈し、希望を求めて生きたグリムは一緒にいないんですよ。

えぐくない?

綺麗で美しい演出だからこそ、メドメルちゃんの境遇とか救いのなさがえぐみを増して、私はあの空を飛ぶシーンを気持ち良く見つめることなんてできなかった。ただひたすらえぐいって思ってた。

流石岡田麿里さんだぜ

でもまだ、このシーンでは最後のEDで回収される可能性があると思ってました。可能性はある。諦めてはいけないと。

私は忘れていたのです。これは岡田麿里さん監督・脚本であるということを。

5)最後まで

そんなえぐみを残しつつの収束ですよ。

まあここらへんはえぐみがきつくてハラハラ見てたので記憶があやふやなんですが。

ヒビオルにも書かないといったレイリアと対比して、マキアはヒビオルにも書いたし忘れなかった。

エリオルの最後を見届けに再会するんですよね。最後だから言いますけど、本当、エリオルとマキアがくっつかなくてよかったと思います。ここがちゃんと母と息子という関係に似た関係を築いて、二人がそれを維持したことが大事なポイントだと思います。でもラングにいちゃんのことも忘れないでいてくれよな。

んでまあ、お孫ちゃんに見送られて、イオルフの民だけど愛した誰か(エリオル)のために泣いて、最後には笑って去るわけです。マキアは。バロウさんも、なんやかんやでイオルフの血を引いていることを隠さなくてよくなったような雰囲気ですよね。いいよね。ED始まりました。後日談的なカッとくるかな?って期待するわけですよ。ないんですよ。とりあえずスタッフロール全部ちゃんと追いかけるじゃないですか。主題歌綺麗だよね大好きだよ。音響さんありがとうございます。

メドメルちゃんは?????????

メドメルちゃんは?メドメルちゃんはどこ?最後の最後に唯一、一人だけ救済シーンのないメドメルちゃんはどうしたの?バロウさんがあんな風に穏やかに外を歩けるのがメドメルちゃんのおかげだといいなと私は思うことにするね????

メドメルちゃんは人間の髪色をしているから、その真実はわからないけれど、彼女はイオルフの民であった母親のおかげで無事他国でも大事にされ、愛され、良き王族の一人として今は女王とか施政者の一人になっていたら良いなと思いました。バロウさんとも仲良いといいなと勝手に思いました。いやほんとに。

※1 ってありますが、つまりはメドメルちゃんの救済だけがないのがすごくもやもやして吐き気がするほどにえぐみがあって(すき)しんどいので2回目を観に行くのがしんどいんですよね……

「さよならの朝に約束の花を飾ろう」

絶望と希望の表現と戦闘シーンの作画が細かく丁寧で最高だなと思いました。

以上で感想を終わります。

ご静聴ありがとうございました。パンフレットをそのうち手に入れたいです。

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